お友達になれるかな?『友情・思いやり』を育むおすすめ絵本10選

友達がテーマの絵本

今回は友達をテーマにした絵本を紹介します。
友達と遊びの中でコミュニケーションを取り始める3〜4歳を中心とした絵本を揃えました。
友達との交流を通して、子ども達にはいろいろな気持ちが生まれます。

それはこのような気持ちです。

・優しくありたい
・仲良くしたいけれど、恥ずかしい
・友達のおもちゃがうらやましい
・どうやって友達になったらいいか分からない

ヨミィ
ヨミィ

紹介する絵本には同じように悩む登場人物が出てくるよ

ネミィ
ネミィ

みんなはどうかな?お友達と一緒に読んでみよう〜

だるまさんと

作:かがくい ひろし
出版社:ブロンズ新社
発行日:2009年01月
対象年齢:0歳〜

【内容・あらすじ】

赤ちゃん絵本の定番だるまさんシリーズの第3弾です。
だるまさんの他に、いちごさんとばななさん、めろんさんが登場します。
一作目から続く「だ る ま さ ん が」のリズムはそのままに、おじぎやハグでコミュニケーションをとります。

感想・おすすめポイント】

*友達の存在を表現したファーストブック

赤ちゃんはまず、家族と愛着関係を築き、友達へと交流の輪を広げていきます。
「だるまさんと」で登場する果物たちを見て、子どもは友達の存在を知ります。
だるまさんが好意的に接する様子から、友達に対して良いイメージを持つことができます。

*赤ちゃんの「気になる」が集まっている!

産まれたての赤ちゃんの視覚は、人の表情と赤色を認識しやすいと言われています。
思わず、目で追ってしまうイラストが魅力です。
他にオノマトペや繰り返し表現を用い、子どもの心を離しません。

*スキンシップが生まれる

だるまさんは果物たちと「ぺこっ」「ぽにん」「ぎゅ」とコミュニケーションをとります。
読み手と子どもが真似することで、楽しいスキンシップが生まれます。

しんせつなともだち

作:方 軼羣
絵:村山 知義
訳:君島 久子
出版社:福音館書店
発行日:1987年01月
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

雪の中、食べるものを探しに出掛けたこうさぎは、かぶを2つ見つけます。

ひとつは自分で食べ、もうひとつは友達のろばにあげようとしますが、留守でした。
こうさぎはろばの家にかぶをそっと置いて帰ります。

帰ってきたろばは、そのかぶを今度はこやぎの家に持って行きます。
しかし、ここも留守でした。

最後にかぶはうさぎの家に戻ってきました。
うさぎはびっくりしますが、すぐに「ともだちがもってきてくれたんだな」と気付きます。

【感想・おすすめポイント】

*話の繰り返しが子どもの興味を誘う

かぶを見つけた動物は皆、

「ゆきがこんなにふって、とてもさむい。(次の動物)さんはきっとなんにもたべものがないでしょう。
このかぶをもっていってあげましょう」

の台詞と共に次の家へと向かいます。
知っている展開が繰り返されることで、子どもたちの興味を削ぐことなく、話が進みます。

*実話に基づいたこその説得力

戦争中、慰問団が持ってきた一籠のりんごが前線の兵士へ送られました。
このりんごはそこから野戦病院へ、司令部へと送られ、ついに慰問団に戻ってきたそうです。
「しんせつなともだち」には基盤となる実話がありました。
それを知ることで「自分が苦しい時でも、相手を思って親切にできる。」
そんな自信が湧いて来ることでしょう。

*絵が生み出す不思議な空間

リアリスティックに描かれてた動物たちは、まるで図鑑から飛び出したようです。
そんな動物たちがレインコートや防寒具を纏い、雪の中に繰り出します。
それぞれの家は北欧風の色遣いの中に障子窓があるなど、不思議な世界観を演出します。

くれよんのくろくん

作・絵:なかや みわ
出版社:童心社
発行日:2001年10月
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

新品のくれよん達が画用紙に絵を描き始めました。
ところが、くろくんは仲間に入れてもらえません。

そこにシャーペンのお兄さんが現れて、こっそりくろくんに耳打ちします。
するとくろくんはいきなり、みんなが描いた絵の上にビューッと頭を滑らせ、まっくろにしてしまいます。

みんなの絵はどうなってしまうのでしょうか?

【感想・おすすめポイント】

*各々の特性を活かし、作品を作る姿

黄色のくれよんは蝶を、ピンクのくれよんは花を描きます。
くれよん達はそれぞれ出せる色が違います。
特性を活かし協力し、作品の完成を目指す姿に学びがあります。

*「みんなちがって、みんないい」の精神

始めは仲間に入れてもらえなかったくろくんですが、最後にはみんなに認められます。
くれよんたちは、自分と違う相手の良さに気付くことができました。

*やってみたくなる描画表現がある

カラフルに塗った画用紙を黒で塗りつぶし、シャーペンで削ぎ、花火を作るシーンがあります。
色が浮き出す不思議な描画が好奇心を刺激します。

だるまちゃんとてんぐちゃん

作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
発行日:1967年11月
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

ちいさいだるまちゃんとちいさいてんぐちゃんが遊んでいました。
うちへ帰っただるまちゃんは

「てんぐちゃんの ような うちわがほしいよう」

と、だるまどんに出してもらいます。

うちわを前に考えているうちに、いいことに気が付きました。
やつでのはっぱをうちわにしたのです。
てんぐちゃんは褒めてくれます。

でも、だるまちゃんは次に帽子が羨ましくなって…。

【感想・おすすめポイント】

*友達の物を羨む気持ちを解決する

てんぐちゃんの格好が羨ましいだるまちゃんは、どんな行動をとったでしょうか?
「自分の持ち物から代替品を見つけ出す」ことをしました。
相手と自分を比較して、満たされない気持ちを自分で解決することが出来ました。

*選ぶ楽しみ

だるまちゃんが頼むたび、おおきなだるまどんは部屋中に道具を広げてくれます。
帽子であれば、野球帽にコック帽、麦わら帽子、三度笠、シルクハット、セーラー帽、新聞紙の兜、ソンブレロ。サンタの帽子まであります。
読み手は「どれにしようかな?」と選ぶワクワク感を味わえます。

*見立て遊びの魅力

たくさんの本物があるにも関わらず、だるまちゃんが選んだのは、「やつでのうちわ」「お椀の帽子」「まな板のはきもの」でした。
見立てることで理想のアイテムを手に入れて、満足気な様子が印象的です。

そらまめくんのベッド (こどものとも傑作集)

作・絵:なかや みわ
出版社:福音館書店
発行日:1999年09月
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

そらまめくんのたからものは、ふわふわのベッドです。
えだまめくんやグリンピースの兄弟がやってきて「ねむらせておくれよ」と頼みます。

しかし、そらまめくんは誰にも使わせようとしません。

そんなある日、そのベッドが無くなってしまいました!

かわいそうになった豆たちは「ベッドを貸してあげよう」とします。

そらまめくんのベッドは見付かるのでしょうか?

【感想・おすすめポイント】

*「豆」知識を知る

豆たちは、さやをベッドにしています。
そらまめくんのベッドはふわふわ、さやえんとうさんのベッドは薄く、ピーナツくんのベッドは固い作りです。
それぞれの特徴を理解することができます。
葉や花の豆ごとの違いも見所です。

*自然に親しむ

描かれているのは豆だけではありません。
れんげや木苺、ヒメジョオン、エノコログサなど身近な植物もあります。
ぜひ、楽しんでもらいたいのは四つ葉のクローバー探しです!

*優しさを知った心

最初は自分のベッドをひとり占めにした、そらまめくん。
しかし、困っていた時、豆たちは自分たちのベッドを貸してくれます。
優しさを受け取って、そらまめくん自身も相手に優しくできるようになりました。

ともだちや

作:内田 麟太郎
絵:降矢 なな
出版社:偕成社
発行日:1998年01月
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

「ともだちやです。ともだちは いりませんか。

さびしい ひとは いませんか。ともだち いちじかん ひゃくえん。

ともだち にじかん にひゃくえん。」

森一番のさびしんぼうのキツネは、ともだちやを始めました。
森の動物たちへ失敗を重ねながら「ほんものの友達」を見つけるお話です。

【感想・おすすめポイント】

*キツネの成功から学ぶ

友達になるために、オオカミとキツネは一緒に遊びました。
それだけで本当の友達と認め合えました。「友達になるためには対価(お金)が必要」と考えていたキツネはその間違えに気付きます。そして、最後には「(友達でいることに対し)なんじかんでも ただです」とスキップして帰っていきます。

*キツネの失敗から学ぶ

ウズラに対しては、相手の立場に立った行動ができませんでした。クマに対しては、相手の顔色をうかがって、自分の本当の気持ちを伝えることができませんでした。反対に「相手と自分の気持ちを尊重すること」が友達作りの秘訣だと本書は伝えています。

*シリーズ作品で物語の広がりを楽しむ

「ともだちや」のお話は「キツネとオオカミのおれたちともだち!絵本」シリーズとして展開しています。「ありがとう」や「ごめんね」をテーマにしたお話もあるので、ぜひ楽しんでください。

きみなんかだいきらいさ

作:ジャニス・メイ・ユードリー 
絵:モーリス・センダック 
訳:こだまともこ
出版社:冨山房
発行日:1975年
対象年齢:3歳〜

【内容・あらすじ】

ジョンとジェームズはとっても仲の良い友達同士。

でも今日のジョンは、なんだかジェームズが気にくわないみたい。
腹が立って仕方がないジョンは、ジェームズに絶交を宣言しに行くことにしますが・・・。

仲良しの二人は本当に絶交してしまうのでしょうか?

友だちに対する子ども心を絶妙に捉えていて、大人もうなずく場面の多い作品かもしれません。
絵本自体が小さめで持ち運びやすく、子どもの手にも収まりがいいので、お子さんもページをめくる楽しみを味わえる一冊です。

【感想・おすすめポイント】

*想像力を掻き立てられる!シンプルな色使いと空白が魅力

赤、緑、黒、白と基本的に4色で描かれている作品。
これほどシンプルな色使いなのに、物語には奥行きを感じられます。
ページが絵でびっしり埋め尽くされているのではなく、空白が多いのもポイント。
描かれていない部分まで想像して楽しめる絵本です。

*読み聞かせやひとり読みにぴったりの短いお話

文章が少なめで短い物語なので、外出先での読み聞かせにもぴったりの絵本です。
繰り返し読んでも疲れないので、文字を覚えたての小さなお子さんのひとり読みにもおすすめです。

*どうしてそうなるの?子どもだからできる友だちとの付き合い方

この絵本のラストでは、そこまでの流れを見事にひっくり返され、大人の読者は調子を狂わされるかもしれません。
でも子ども時代を思い返すと、この絵本のように、友だちとの関係はもっとシンプルだったはず。
難しく考えすぎている大人だからこそ、読むべき一冊かもしれません。

とんことり

作:筒井 頼子
絵:林 明子
出版社:福音館書店
発行日:1989年02月
対象年齢:4歳〜

内容・あらすじ】

かなえは知らない街に引っ越してきました。

荷物の整理に疲れて座っていると、玄関の方で「とん ことり」とちいさな音がします。
かなえが見に行ってみると、郵便受けの下にすみれの花束が落ちていました。

そして、次の日は3本のたんぽぽ、また次の日は手紙が届きました。
手紙には「ともだちはいいです とてもうれしい まってます」と書いてありました。

そして、折り紙の人形が届き、ついにかなえは送り主の女の子と出会いました。

【感想・おすすめポイント】

*主人公かなえの心の描写

「とん ことり」の小さな音にも敏感に反応してしまうほどの心細さが伝わります。友達が現れるまでのかなえは、疲れた顔や退屈そうな顔、ふてくされた仕草が目立ちました。しかし、最後に友達と自転車で野原を駆けながら見せる弾ける笑顔は対照的で、とても眩しく映ります。

*友達の心の描写

プレゼントの送り主の正体は、赤いサスペンダーのお下げの女の子です。読者には物語の終盤まで分かりません。ところが、読み返すと、この女の子が最初のページから登場することに気付きます。引越しの登日、かなえを遠くから自転車に乗って見つめています。次の登場は幼稚園の見学の日です。今度は壁にもたれて様子をうかがっています。

「仲良くしたい気持ちを、どう表現したらいいのかな」そんなモジモジとした葛藤が充分に伝わります。その勇気が報われ、無事に友情に変わった時には感動と安堵が生まれます。

*画で伝わるこれからの友情

一人で花を摘んだ原っぱを二人で駆け回る姿や、二つ並んだ紙の人形から、これからの友情の形を想像できます。

レモンちゃん

作:さとうめぐみ
出版社:PHP研究所
発行日:2017年10月
対象年齢:4歳〜

【内容・あらすじ】

いろんな野菜や果物たちが暮らす「おいしいもり」にやってきたレモンちゃん。

みんなの仲間に入れてもらおうとしますが、どこに行っても「ちがう」と言われてしまいます。

そんなときに出会ったのはちょっとこわい「やくみ」グループ。

さてさてレモンちゃんはどうするのでしょうか?

かわいらしい絵で描かれたメルヘンな世界のようですが、大人の世界にも置き換えられるようなリアルなストーリーが印象的でした。
薬味の役割が学べるなど、食べ物についての関心を高める側面もある作品だと思います。

【感想・おすすめポイント】

*食べ物に親しむのにうってつけ!かわいらしいキャラクターたち

「おいしいもり」に暮らす食べ物たちが、とにかくかわいらしい絵で描かれています。
食べ物の名前やそれぞれの特徴を学べる要素も盛り込まれていて、食育の絵本としてもぴったりの一冊です。

*大人もドキッとする?友だち関係がリアルに描かれたストーリー

レモンちゃんは「甘くない」「おかずじゃない」などの理由から、どこに行っても仲間に入れてもらえません。そのストーリー展開に、大人もドキッとさせられる作品です。
人間関係の難しさや友だちという存在について、お子さんとじっくり考えたいときにぜひ読んでみてください。

*レモンの魅力は一つじゃない!友だちが教えてくれること

レモンちゃんは「やくみ」の仲間たちに出会ったことをきっかけに、自分のよさに気がついていきます。
学校などでも、友だちとの関係の中で自分の魅力に気がつくことがありますよね。
なかなかみんなの輪に溶け込めず悩んでいるお子さんにも、ぜひ一度読んでほしい作品です。

おんなじ、おんなじ! でも、ちょっとちがう!

作:ジェニー・スー・コステキ=ショー
訳:宮坂宏美
出版社:光村教育図書
対象年齢:6歳〜

【内容・あらすじ】

アメリカに暮らすエリオットと、インドに暮らすカイラシュ。二人の少年は互いの生活を描いた絵手紙を送り合い、それぞれの暮らしや文化を知っていきます。たくさんの「おんなじ」と「ちょっとちがう」を知った二人はどんな関係になっていくのでしょうか。

二人の少年の国を超えた手紙のやり取りを、本人目線で体感できるような構成になっています。
二人の暮らしぶりの比較が興味深く、一度読み始めると最後までページをめくる手が止められませんでした。

【感想・おすすめポイント】

*細部まで楽しめる!ダイナミックでカラフルな絵

「絵手紙」が主題ということで、なんといっても絵の力が強い作品です。二人の少年の絵手紙がページいっぱいに描かれていて、細かい部分までじっくりと見て楽しむことができます。

*比べてみよう!似ているようで違う二人の暮らし

アメリカとインドに暮らす、二人の少年の生活の違いを一緒に学べる絵本です。
二人の暮らしのどこが「おんなじ」で、どこが「ちょっとちがう」と思うか、お子さんと一緒に比べてみてください。
二人の暮らしと日本での暮らしを比べてもおもしろいかもしれません。

*友だちもグローバルになる時代!国を超えた友情について考えよう

外国から日本に来る人が増えていたり、SNSで世界とつながりやすくなったりと、友だち関係もグローバルになる時代を生きていく子どもたち。
この絵本でも二人の少年が、住む世界の違いを超えて交流していきます。
絵本を読みながら、外国人のお友だちについてお子さんと考えてみてはいかがでしょうか。

子どもたちの日常には、友達をつくるきっかけが溢れています。
ぜひ絵本で育んだ気持ちを大切にし、活かしてください。

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